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| ●新聞掲載記事● |
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2002.11.2 日経新聞夕刊より 『駆けっ子ビリが一等賞に』
<理想の走法機械で習得>
≪目覚めるし深層筋≫
≪長距離にも効果≫ 2006年2月12日(月)日刊スポーツより 「ハイテクスポーツ塾」で最先端科学トレーニングに挑戦!! ランニングマシンが容赦なく加速する。必死で脚を動かすと、酸素不足で心臓がばくついた。そもそも頭に血が回らない。五輪代表らの持久力強化法として知られる低酸素(高地)トレーニングを、谷川真理さん主宰の「ハイテクスポーツ塾」で初体験した。酸素を薄くした気密室で限界まで走った。長年の喫煙癖で酸素不足など慣れっこだと高をくくっていたのだが、20分で悲鳴を上げた。 【20分でギブアップ】 最先端スポーツ科学への挑戦だ。張り切って真っ赤な短パンで更衣室から飛び出すと「まあ、鉢巻きまでして。もっとリラックスしてください」と、インストラクターの小川ミーナさん。周囲がくすくす笑っている。どうやら出だしから滑ったらしい。 拷問部屋の薄暗さを想像していたら、さまざまなトレーニング機器が並んだ館内の明るい一角が低酸素室だった。ガラス張りの密室に最新のランニングマシンが置いてある。「普通の人が普通に練習できる所です」。そうか、落ち着こう。 歩く速さからマシンのレベルを徐々に上げたためか、1キロ6分の標準ペースに達したときは余裕があった。酸素濃度計は15.5%、標高2600メートル相当を指していた。平地は20%強だから4分の3しか酸素がないが、初めの数分はそれを感じない。 マシンのパネルに左右のストライドが1歩1歩表示されて、面白い。つい力走し始めた。右が平均104センチで左が100センチ。道理で我が道、いつもよじれて生きてきた。 バネを使って走ったから、突然息が切れてきた。あえいでも楽にならない。自転車こぎでは190まで脈が上がるが、ここでは開始20分、心拍数166で限界にきた。頭にも血が回らないのか、平均時速が暗算できない。「もう駄目、許ちて」。舌をかんだ。 本当の駄目はその後だった。ギブアップしてペースを落としても、脈拍は160から少しも落ちない。普通なら1分で20〜30はすっと下がるのに、息苦しさが逆に加速する。思わず叫んだ。「どうなるの、僕どうなるの」。女王様と奴隷遊びだ。小川さんが苦笑した。「外に出なさい」。ああそうか。そりゃそうだ。 【短期間で心肺向上】 低酸素の高地で合宿すると血液中のヘモグロビンが増えて持久力がアップするのはスポーツの常識だ。しかし最近では「国際スポーツ会議2004」などで「短期間の高地トレで刺激を与えるだけでも、かなりの心肺機能全体の向上が確認できた」との研究結果が発表されている。 【『ローリング走法』】 室外に出ると「走るメジャーリーグ養成ギプス」カンド君が待っていた。谷川真理さん提唱の「ローリング走法」を強制的に筋肉に体験させるマシンで、東大大学院の小林寛道教授が開発したものだ。 普通、人間は方と腰を目標と直角に固定して四角四面で走ろうとする。しかし脚をピストンのように突き刺す動きがエネルギーの無駄遣いを招きやすい。 これに対して谷川真理さんは「脚と同時に、同じ側の腰も前に出す」腰の水平回転を提唱している。へそを支点に下半身をつり上げて「脚腰同側」で踏み込んでいくのが特徴の1つ。自然にストライドが伸びる。また後ろ脚を蹴り残さずに早めに巻き上げ、円を描くように脚を回すことで走りが滑らかになる。短距離走者にも効果があるという。 この動きを体験させるのがカンド君。回転しながら前後にスライドするペダルに足を縛る。モーターが回るとペダルが大きく前後に動き始め、またが引き裂かれる感覚だ。あの女流官能小説家ならきっと髪を振り乱すに違いない。腹の奥の腸腰筋に力を入れて必死で耐えた。数歩で脂汗が出て、10分で汗だくになった。 なるほど理にかなっている。ベテランや年配者ほどついフォームが小さくなるが、使っていなかった部分を刺激することで「全身で走る」感覚が分かった気がする。ここでも「刺激」がキーワードだった。 【刺激がキーワード】 苦しかったが、小川さんのひと声で悲鳴が引っ込んだ。「3年前よりずっと腰の関節が柔らかくなりましたよ」。確かに以前1度試したことがあり、以来腰の回転はずっと意識してきた。10人近くいるインストラクターの中で、そのとき付いてくれたのが小川さんだった。こちらは忘れていたが、彼女は細かに覚えていてくれた。選手がコーチに心酔し「この人に付いていこう」と決意するのはこういう一瞬なのだろう。これが本当のカンド君。 【やっぱり人なのだ】 自身もランナーで、実業団時代は98年の大阪で2時間28分47秒をマークした。最近また走り始め、昨年はボストンで9位。現役だからこそ、来場者の体とダイレクトに対話ができる。 全筋肉を因数分解された感じだったが、何か温かい気持ちで塾を出た。ハイテクを支えるのは、やっぱり人なのだ。 |